医療法人の廃業には、単純に法人を解散する方法のほか、合併によって法人を消滅させる方法など、複数の手段があります。
どの方法を選択するかによって、必要となる手続きやスケジュール、関係機関への対応も大きく異なるため、状況に応じた適切な判断が重要となります。

いずれの場合であっても、法人としての解散手続きに加え、診療所の廃止に関する手続きを並行して進める必要があります。
診療所の廃止届や保険医療機関の辞退手続きについては、手続きの時期や進め方によっては保険診療が行えない期間が生じるおそれもあるため、慎重な対応が求められます。

また、患者様への対応やスタッフの処遇、各種契約関係の整理など、実務面での調整も重要なポイントとなります。
これらを適切に進めることで、円滑かつ円満な廃業につながります。

当事務所では、医療法人の廃業に関する複数の選択肢を踏まえ、それぞれの状況に応じた最適な方法をご提案するとともに、解散・清算から診療所の廃止まで一連の手続きをサポートいたします。
まずはお気軽にご相談ください。

医療法人の認可による解散事由

医療法人の解散については、医療法においてその事由が定められており、主に次のような場合に解散することとなります。

 事由手続き
1定款(寄附行為)で定めた解散事由の発生解散届の提出
2目的たる業務の成功の不能解散認可の申請
3社員総会の決議
(社団医療法人の場合、定款に別段の定めがなければ総社員の4分の3以上の賛成が必要)
解散認可の申請
4他の医療法人との合併(合併により消滅する場合)解散認可の申請
5社員の欠乏解散届の提出
6破産手続開始の決定破産の手続き
7設立認可の取消し解散認可の申請

これらはいずれも医療法に基づく解散事由であり、それぞれの状況に応じて必要となる手続きや進め方が異なります。

解散の手続きは、大きく「解散届によるもの」と「解散認可が必要なもの」に分かれます。

社員総会の決議による解散や合併による解散などは、所轄庁の認可が必要となり、設立と同様に年に数回(一般的には年2回程度)の申請時期が設けられていることが多いため、タイミングを見据えた準備が重要となります。
一方で、破産手続開始や設立認可の取消しなどの場合には、届出による対応となります。

実務上、比較的多く見られるのは「社員総会の決議による解散」や「合併による解散」です。任意に廃業する場合には社員総会の決議を経て解散認可を申請する流れとなり、事業承継の一環としては合併による解散が選択されることもあります。

いずれの方法による場合であっても、解散後には清算手続きへと移行し、債権債務の整理や残余財産の処分を行う必要があります。また、診療所の廃止や保険医療機関の辞退手続きなども並行して進める必要があるため、全体のスケジュールを見据えた計画的な対応が重要となります。

診療所の廃止手続き

診療所を廃止する際には、保健所への廃止届の提出や、保険医療機関の辞退手続きなど、関係機関への届出を適切に進める必要があります。

なお、医療法人の場合には、法人の解散手続きとは別に、診療所の廃止手続きも必要となります。
法人を解散しても自動的に診療所が廃止されるわけではないため、実務上は「法人の解散手続き」と「診療所の廃止手続き」を並行して進めることが重要です。

特に、保険医療機関の辞退手続きの時期を誤ると、保険診療が行えない期間が生じるなどの影響が出るおそれがあるため、廃止日との調整が重要となります。